“Gish Note”はDieSixxの映画評だけをまとめたブログです。

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第347位『サンドラの週末』(ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ)

Two Days,One Night/2014/FR-BE うつ病で休職し、ひさびさの職場復帰を控えていたサンドラは、急な解雇を言い渡される。復職するには、同僚にボーナスを諦めてもらうように、この週末(タイトルの2日と1夜)だけで説得して回らなくてはいけない。その過程…

第348位『ブレックファスト・クラブ』(ジョン・ヒューズ)

The Breakfast Club/1985/US バーノン先生、僕たちがせっかくの土曜日に登校を命じられたのは当然の報いだと思います。僕たちは間違いを犯しました。でも自分とは何かという作文を書けだなんてばかげています。意味がありません。先生は色眼鏡で僕らを見て、…

第349位『Pearl パール』(タイ・ウェスト)

Pearl/2022/US タイ・ウェストとミア・ゴスが組んだスラッシャー映画3部作の2作目。70年代を舞台に『悪魔のいけにえ』を下敷きとした前作『X』で大活躍した老女シリアルキラー、パールの前日譚が描かれる。舞台は1918年だが、ルックは40〜50年代の黄金期のハ…

第350位『宇宙戦争』(バイロン・ハスキン)

The War of the Worlds/1953/US H.G.ウェルズの傑作小説の映画化。私はスピルバーグ版から入り、こちらのバージョンを見たのはストリーミングで見やすくなってからだが、温かみのあるアナログ特撮とレトロフューチャーなデザインの楽しさに、すっかり気に入…

第351位『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)

The Ninth Configuration/1980/US 『エクソシスト』の原作、シナリオで知られるウィリアム・ピーター・ブラッティの監督デビュー作。海兵隊の精神科医ハドソン・ケーンは、ベトナム戦争で心に傷を負った兵士たちの療養施設に着任する。施設は霧深い山奥にそ…

第352位『食人族』(ルッジェロ・デオダート)

Cannibal Holocaust/1980/IT レンタルビデオ店の棚で偶然『食人族』のテープを手に取ったときは、なんだかイヤなモノに触れた気がして、すぐにでも手を洗いたくなったものだった。パッケージの画像や文言が頭に張り付いて、食事中や睡眠前に気分が悪くなるく…

第353位『大脱走』(ジョン・スタージェス)

The Great Escape/1963/US おなじみのテーマソングが流れるオープニングに毎回胸が高鳴る。各人役割をこなしながら、てきぱきと脱獄を準備する前半部は、看守と捕虜が互いにゲームに興じているかのような遊戯的な雰囲気がある。だが、脱獄穴が露見し、仲間の…

第354位『ゼロ・モティベーション』(タリア・ラヴィ)

Zero Motivation/2014/IL イスラエルの砂漠に配属された女性兵士たちの日常を描くオフビート社畜コメディー。戦時の緊張感とは程遠いお茶汲みやコピーなど平成日本のOLばりの「ゼロモチベーション」な仕事ばかりを押し付けられる管理部門のメンバー。親友同…

第355位『パンをふんだ娘』(劇団かかし座)

The Girl Who Trod on the Loaf/1975/JP 『パンをふんだ娘』はNHK教育テレビで1975年、「にんぎょうげき」の番組枠で放映された。アンデルセン童話の原作を、劇団かかし座が影絵劇の手法で映像化。くり返し放映され、多くの子どもにトラウマ体験をもたらした…

第356位『素晴らしき休日』(ジョージ・キューカー)

Holiday/1938/US ジョージ・キューカー、キャサリン・ヘプバーン、ケイリー・グラントの瀟洒で優雅なロマンティックコメディ。旅先で知り合ったジュリアと結婚するため、自宅を訪ねたジョニーは、彼女が銀行家の令嬢だったと知る。ジュリアはジョニーに「一…

第357位『セーラー服と機関銃』(相米慎二)

Sailor Suit and Machine Gun/1981/JP 『ねらわれた学園』(1981)で上昇気流に乗っていた薬師丸ひろ子の人気を不動のものにした80年代角川アイドル映画の金字塔。『翔んだカップル』(1980)で評判を得た相米慎二が再び薬師丸主演で企画した。商業映画として大…

第358位『ひなぎく』(ヴェラ・ヒティロヴァ)

Daisies/1966/CZ チェコ・ヌーベルヴァーグの代表的な作品とされるが、私が本作を初めて知った2000年代には、すでにおしゃれでポップなガーリームービーや渋谷系文化の文脈で語られることが多かった。学生のころは、この映画に影響されたとおぼしき自主映画…

第359位『モスラ対ゴジラ』(本多猪四郎)

Mothra vs. Gozilla/1964/JP 怪獣バトルを主軸とした娯楽路線のフォーマットは、前作『キングコング対ゴジラ』ですでに完成していた。キングコングの客演でグローバル市場でも一定の成功を収めたシリーズの次の対戦相手には、モスラが登板。ついに純然たる東…

第360位『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエルズ)

Everything Everywhere All At Once/2022/US スーパーヒーロー映画のジャンルが開いてしまったマルチバース(多元宇宙)は、膨大な映像アーカイブに瞬時にアクセスできるストリーミング時代に、ファンダムとの共犯関係を結ぶことで、熱烈な支持を得た。ある…

第361位『ルージュ』(スタンリー・クワン)

Rouge/1987/HK 50年前に身分違いの悲恋のはてに、恋人と心中した芸者が、あの世で待っていてもいっこうに恋人と再会できないので、しびれを切らして現代によみがえり、新聞広告を出そうとする。『大霊界』のようなとっぴなプロットを、名匠スタンリー・クワ…

第362位『クジョー』(ルイス・ティーグ)

Cujo/1983/US スティーヴン・キングの原作『クージョ』の映画化。穏やかで忠実なセントバーナー犬、クジョーが狂犬病に侵され、凶暴化する。プロットからも分かるとおり、『ジョーズ』以降量産された動物パニックの系譜に位置付けられる。同時に80年代に隆盛…

第363位『クローズ・アップ』(アッバス・キアロスタミ)

CLOSE-UP/1990/IR イランの著名な映画監督モフセン・マフマルバフの名を騙り、ブルジョア家庭から金をだまし取った罪で逮捕された男サブジアン。雑誌でこの記事を読み、関心を持ったキアロスタミは、裁判手続きの様子をドキュメンタリーとして収めつつ、実際…

第364位『バトル・ロワイアル』(深作欣二)

Battle Royal/2000/JP 分厚いペーパーバックの原作を、書店で手に取ったのは、1999年。中学2年生の春だった。十代の私は、ホラー小説に熱中していて、角川ホラー文庫を片っ端から読破する日々であった。『バトル・ロワイアル』は、角川ホラー大賞で審査員か…

第365位『國民の創生』(D・W・グリフィス)

The Birth of a Nation/1915/US 映画史上の最重要作品の1本を、最下位に置き、このリストをスタートしたい。もし500本選ぶとしたら、500位は変わらず『國民の創生』である。うつくしいリリアン・ギッシュのクローズアップ、効果的なカットバック、なまなま…

Best 365 Films of All Timeを始める前に

私はきょう39歳になりました。40歳までの1年間で、私にとって大切な365本の映画を紹介していきます。1日1本ずつ、365位から順番に、このブログにアップロードしていきます。 たんなるオールタイムベストというだけではなく、私の人生や思考に決定的な影響…