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第272位『殺しの分け前 ポイント・ブランク』(ジョン・ブアマン)

Point Blank/1967/US

仲間に裏切られた白髪のリー・マーヴィンが「自分の分け前を寄越せ」の一点のみにこだわり、犯罪組織へとグイグイと迫り、追い込んでいく。中古車屋で試乗するふりして危険運転で相手を脅迫したり、元妻の妹に色仕掛けさせて標的に忍び寄り、うっかり殺してしまったりとやることなすこと全てがめちゃくちゃで、全く感情移入できない。だが、凝ったアングルとスピーディーな編集、そしてリー・マーヴィンの悪漢ぶりにグイグイと引っ張られる。鈴木清順など同時代の日活、東映ピカレスクアクションにも通じる硬派で、アバンギャルドな空気感が魅力だが、果たしてどの程度影響があったのか、それとも単なるシンクロニシティなのか。カルト的人気を誇り、本作に影響を受けた作品はその後も思い出したように作られる。