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第336位『呪いの家』(ルイス・アレン)

The Uninvited/1944/US

元祖幽霊屋敷映画。もちろん『たたり』や『回転』より先だが、まだ恐怖映画というジャンルが確立されておらず、幽霊の正体をめぐるミステリーやロマンチックコメディとしての色合いが濃い。同時代のフィルムノワール的なタッチの画面作りも多く、美しい撮影と照明がみどころ。ルイス・アレン監督は特撮技術を使った幽霊を見せることには最後まで反発していたようで、スタジオの意向に押し切られた形というが、当時としてはかなりいい線だったのでは。あの『シエラ・デ・コブレの幽霊』にも影響を与えているように思う。コーネリア・オーティス・スキナー演じるミス・ホロウェイの存在感も幽霊並みに怖い。

ヒロインのゲイル・ラッセルは当時19歳。輝くような可憐さ。その後もアレンの監督作やボーゼージの作品などで活躍したが、極度の緊張症でアルコール依存し、36歳の若さで亡くなっている。