Showgirls/1995/US
数々のワースト映画賞を総なめにした、ある意味でポール・ヴァーホーベン監督の代表作。前作『氷の微笑』でのあけすけな性描写を発展させた上に、ほとんどセックスそのものがテーマになってしまった結果、めちゃめちゃ金のかかった東映ピンキーバイオレンスの様相である。
ラスベガスのショウビズ界が舞台だが、物語の下敷きとなっているのは、ハリウッド黄金期の名作『イヴの総て』(1950)だろう。脚本は『イヴの総て』ほど緻密ではないが、イヴの上昇志向をやや冷ややかに描いている〝原作〟に対し、こちらの主人公ノオミはバイタリティあふれる女性として、ポジティブに描かれている。ライバル関係の女性同士がバチバチと火花を散らしつつも、どこか特別で強固な絆で結ばれているという描写にも好感が持てる。だから本作の原題は「ショーガール“ズ”」なのだ。
ノオミは、攻撃的かつ直情的で危なっかしいが、終盤にその生い立ちが明らかになると、あんなに苛烈な人生を歩んでいたのに、めげず、腐らず、他人のせいにせず努力を続けてきたのかと泣けてくる。ノオミの才能にいち早く気づき、一番の理解者だったのに、タイミングが悪すぎてスーパーの店員として生きることになるアフリカ系のダンサー、ジェームズも切ない。
批評的にも興行的にも惨敗した本作だが、今日ではカルト作品として熱烈なファンを獲得している。ヴァーホーベン監督自らラジー賞の式典に出席し、トロフィーを受け取ったエピソードも語り草だ。作品自体が、自らを卑下せず、傲岸不遜に空を見上げ、したたかに生き抜こうとする劇中のノオミと重なって見える。