“Gish Note”はDieSixxの映画評だけをまとめたブログです。

第257位『卒業』(マイク・ニコルズ)

The Graduate/1967/US

この有名な作品について知ったのは、小学校で見たNHK教育(現Eテレ)の「このまちだいすき」の最終回であった。この番組は、小学校3年生向けの社会科の教育番組だったが、なぜか最終回はろくに社会科の話をせずに、主人公のサガセルが、ヒロインの結婚式に乗り込んで強奪するという『卒業』のパロディが展開していた。おそらくサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」も流れていたと記憶するが、思い違いかもしれない。なんにせよ、小学生の私にはまったく理解できなかったわけだが、後日母親からそれが映画のパロディだったと教えてもらったのだった。実際に『卒業』を見ることができたのはもう少し後のことである。

 この映画の主人公ベンジャミンは、今見ても結構どうしようもないやつで、どうしてエレーンが簡単にベンに心を開いてしまったのかよくわからない。大人になった今見返すと、かつては美術を専攻していたが、エレーンをみごもったことから母親となり、今は欲望を持て余し、退廃的なセックスで娯楽を得ているミセス・ロビンソンが最も奥行きを感じさせるようにおもう。